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『Life in the UK』テスト一発合格勉強法!大量連載中!

まだ連載中ですが、現在、公式「Life in the UK」のテキスト解説をほぼ網羅しております。試験に必要な方はぜひご活用ください。

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『Life in the UK』テスト一発合格勉強法!第十二回「イギリスの歴史:黒死病(ペスト)の流行」

2020/03/07
 
ロンドン市内
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 略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。

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封建制度(feudalism)

 ペストのパンデミックについて述べる前に、とりあえずこの頃の社会制度について見てみましょう。

 ノルマン人が1066年にサクソン王を倒し、それ以降彼らが導入した社会の仕組みに、土地所有者のシステム、「封建制度(feudalism)」があります。

 余談ですが、私は中学入りたての時にずっとこれを「ふうけんせいど」と読んでいた気がします笑。「ほうけんせいど」ですよね。まあそんな事はどうでもいいとして、その仕組みについて簡単におさらいしましょう。

封建制度の仕組み

 まず、王は、(封建)領主(Lords)に土地を与えます。
 そして封建領主たち(Lords)は、王から土地を頂く代わりに、一定数の働き手を国の軍隊に送り込まねばならない訳です。

まずそこで出てくるのが小作人(peasants)です。

 当時土地は王侯貴族のものですから、つまりこの小作人たちは、領主の持っている土地を「借り」て、そこを耕して食べ物を作る訳です。そして、土地を「借りさせてもらっているお礼」に、税を支払います。

 農奴(serfs)も出てきます。ヨーロッパでは小作人よりもむしろ農奴の方が割合が高いそうです。教科書にも、”most were serfs”と書いてありますよね。

 農奴というのは、つまり農民の奴隷です。

 彼らは、その土地の所有者(領主/Lord)の所有物とみなされています。

 それが小作人と違うところです。小作人には自由がありますが、農奴はそもそも奴隷なので、その土地の領主の「持ち物」なのです。

農奴が突然農民をやめて仕事で靴磨きをする、なんて事はできません。奴隷にそのような自由はないですよね。
 つまり、その領主がその土地を売れば、その農奴もその土地と一緒に売られていきます。

 王から軍への人手の要請があれば、軍隊に奉仕する義務のある人々は、この小作人・農奴(peasants/serfs)なのです。

 意味がわかりません。では貴族は何をしている人たちなんでしょうね?
 こういう貴族の考え方はとにかく腹が立ちます。しかし当時の人々はそれが普通と思っていたでしょう。

 もしかしたら、私たちも今現在の「普通」に沿って生きているのかもしれません。ルールにばかりとらわれて、無意識のうちに社会に搾取されないように気をつけましょう。

スコットランド

 現在スコットランドと言われる地域には、2種類の土地の管理制度が出来上がって行きます。

 1つ目:イギリスと同じような封建制度システムがスコットランドの南(Scottish Lowlands)で始まります。

 2つ目:スコットランドの北(Scottish Highlands)やアイルランドでは、“clans”と呼ばれる裕福な世襲制のファミリー(Prominent Families)が代々土地を牛耳るようになり、その上でまた別のシステムが確立されます。

 以下に当時描いた簡易地図を載せてみますね。

オレンジがスコットランド「ハイランド」と呼ばれる地域+アイルランド/グリーンが「ローランド」と呼ばれるところ。

 イングランド地方で見られるイギリスの封建制度(Feudalism)は、南スコットランド(上記地図の緑Lowlands)で発展します。

 それ以外、北スコットランド(上記地図のオレンジHighland)、アイルランド(オレンジ)では、土地は代々”clans”と呼ばれるファミリーにおいて管理されます。

 時に、“Clans”は日本語では「氏族」と訳されます。
 ちなみに、英語圏の諸外国から日本の戦国大名などを指しても”clans”と言うそうです。
 戦国大名と言えば伊達家とか毛利家とかありましたよね。

 つまり、当時、伊達家が持つ土地、毛利家の土地、などと、代々の(大名)氏族によって、土地が地域ごとに所有、管理されていたわけです。そのスコットランドバージョンです。
 そう考えてみると分かりやすいかもしれません。

 スコットランドでは、日本の大名と同じように、色々な氏族がいましたが、後々出てくる氏族の一つに「マクドナルド家(MacDonald)」があります。

 うっすら、スコットランドのハイランドの氏族は確か、なんかハンバーガーを食べていた気がするなーとでも思っておいてください。

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The Black Death 黒死病(ペスト)

 と、言うことで、やって来ました。ウィルスという名の死神が来ます。

 The Black Deathという、当時ヨーロッパを襲った非常に深刻な伝染病のパンデミックです。

 この英語、The Black Deathの日本語の対訳は「黒死病」です。

 なぜ黒死病という名前がついているかと言うと、ペストにも何種類かあるのですが、そのうちの一つ”septicemic plague”(敗血症ペスト)にかかると、全身黒いあざだらけになって死亡するからです。
 その致死率は高く、なんと60%-90%、治療をせず放置すると100%の確率で死亡するとか。
 この黒死病のせいで、とある村は80%の村人がバタバタと倒れ、死体だらけだった事もあるそうです。

1348年に、このThe Black Death(黒死病)が、ブリテン島を襲います。
 
 これにより、なんと当時のイギリスの人口の3分の1が死に絶え、
スコットランドやウェールズも同様の割合で被害を被ります。

 人口の3分の1が死に絶えたら、これは社会構造、社会での人々の力関係をたやすく変えてしまいますよね。

The Black Death(黒死病)がもたらした社会の変化


 黒死病が国を襲った翌年には、単純に考えると、人口が3分の1少なくなっています。つまり食べ物の穀物の必要数がその分だけ減る訳です。

 そして、もちろん労働力も欠乏しますね。

 そのおかげで何が起こるか。

 小作人たちが穀物を作るのにもっと高い給料を要求しだす訳です。彼らには技術がありますから、この労働力が欠乏した災害のあとには、彼らの技術を高く買えということですよね。

 また、この頃に、「the Gentry」と呼ばれる広い土地を持つ地主の層を含む、新たな社会階級が形成されて来ます。
 貴族(nobility)階級の下に位置する紳士(the Gentry)階級とでも言うのでしょうか。

 だんだんと人々は田舎を離れ、街に出て住むようになります。街では、人々の富の追求がまたより強い中産階級を生み出してゆきます。
 王侯貴族とそれに支配されるものという社会構図の中で、そうやって階級が多様性を帯びてくる訳ですね。

 今日はここまでです!

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2020 Edition Life in the UK Test Handbook” p17-p18

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ボキャブラリ

さあ読んで行きましょう!試験は全部英語です!!!いつもの英語での英単語の覚え方はこちら「2. 英語で覚える英語のボキャブラリー」をどうぞ!

日本語チーターシートはこちら↓

必須単語は黄色いマーカーの所なので、絶対に覚えてください。

ownership |n[U]  the fact that you own something:

feudalism |n.[U] the feudal system, the social and land-owning system of western Europe in the Middle Ages or of any society that is organized according to rank:

peasant |n.[C] a person who owns or rents a small piece of land and grows crops, keeps animals, etc. on it, especially one who has a low income, very little education, and a low social position. This is usually used of someone who lived in the past or of someone in a poor country:

serf |n.[C] a member of a low social class in medieval times who worked on the land and had to obey the person who owned that land

Clan |n. [C] a group of families, especially in Scotland, who originally came from the same family and have the same name

Prominent adj.|very well known and important:

Plague |n.[C/U] bubonic plague , or any serious disease that kills many people:

Black Death |n.S a disease that killed an extremely large number of people in Europe and Asia in the 14th century

proportion |n. C the number or amount of a group or part of something when compared to the whole:

disaster |n. (an event that results in) great harm, damage, or death, or serious difficulty:

following |prep. after:

cereal |n. a type of grass that is grown to produce grain:

shortage |n. [C] a situation in which there is not enough of something:

the gentry |n[pl] people of high social class, especially in the past:

By Collins English dictionary , Cambridge Dictionary, Wikipedia, Oxford Dictionaries
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今日の問題

In 1348 a third of the population of England, Wales and Scotland died as a result of which plague?

1. The Blue Death
2. The white death
3. The green death
4. The black death

ではみなさん、よければ、以下の「『Life in the UK』一発合格勉強法!第十三回」でお会いしましょう!(以下にリンクがない場合は執筆途中です。記事は月-金の毎日、日本時間の19:00PM/英国時間の11:00AM頃更新されます。)

「『Life in the UK』一発合格勉強法!」シリーズの、過去の全記事が、「目次 SiteMap」の「Life in the UK」にありますので、良ければリンクをクリックして、見たい所からご覧ください!

英国古本屋ライター:K・T・エリーズ

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 略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。

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