イギリスのバスに乗ったら、どこかすごい犬と目があったので、ピンクの花を買って帰った話。
略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。
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イギリスはバスが来ない
バス停で来ないバスを待っていて、ああ今日は何分待つんだろうと思いながら空を見ていた。
コートを着ていなければ寒いけれど、かろうじて晴れた日だった。全部が平和に見えた。
いつもこういう時に気が緩んで、ヒールの高いブーツのつま先で、歩道から車道にコトンと何気なく降りた瞬間、そのままたぷんと水の中に落ちて行くように、
気分が持って行かれてしまう。
たぷん、
こんな事を言っても、きっと誰もわからないだろうとか、
どうしたのと聞かれても、またいつものように笑ってごまかすんだろうけど。
ゴーッと音がして
バスが来る。
なん分遅れたかなんて、後何十年生きれるかと考えるくらい心もとない事だからもう考えない。
乗り込むと車掌がニコリとする前に、アプリで買ったバスの切符を見せつける。イギリスのこういう所は、人がやっている分には好きだが、自分がやる分には重荷だ。
特に誰に好かれたい訳でもないので微笑む必要などない。
その人が本当に好きなら、あ、笑わなくちゃ、などと思う前に笑っているだろう。
そんな事を考えながら席に座ろうとして、奥に歩きかけた。
その途中で、人の足を踏まないように足元を見ながら歩いていたら、
すごい犬と目があったので、
とりあえず今日生きている事には、とても価値があるように思えた。
その犬。
なんかすごい!
うん、そうね。
疲れたけど、
いい日ね、今日。
そんな事を問いかけて、写真を撮る。
パシャり。
撮る間もずっとこの顔。
何かを信じていて疑わない、
純粋で、
間抜けで、
何かがすごい、
犬。
公共の交通機関での犬たち
イギリスでは、公共の交通機関に犬を乗せる事が普通だ。
猫は見たことがないけれど、犬は結構よく見かける。
電車でも、
暇すぎてぼうっとしているゴールデンレトリバーなんかによく出くわす。
こう言うのを見ていると、動物と人間がすごく近いような気がする。
人間が感じている事を、感じているような。
よく、現代アートの絵画で、動物の顔をした人間なんかが普段の生活をしているのが、描かれていたのを、思い出す。
なので、なんとなくバカになって
バカというか、余計な事を考えず、
見えるものを信じて
欲しいものを買って
それでいいんじゃない今日は?
とりあえず今日は頑張らないで、
それでいいんじゃないかな
そう思って、
街でバスを降りた。
花屋
バスを降りた角っこに花屋があることは知っていたけれど、
ビルとビルの間の狭い通路を挟んだ全部が
花屋だと思わなかったので
中に入って
なんかナルニア王国みたいと思う。
一つ選んだら、
花の効力でもう何も考えずに
どうでもいい事を書いて、
眠ってしまおう。
おやすみなさい。
みなさんが
あまり無理をせず
自分を大切にしながら
ずっとハッピーであれますように :)
英国古本屋ライター:K・T・エリーズ
略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。