[イギリス]英語で履歴書”CV”を書く前に知っておきたい心得[働き方における考え方の違い][所要時間]など
略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。
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イギリスにおける労働力の判断材料
日本ではよく、書類選考の段階で、人事部が履歴書を見て、大学名だけで弾いていくという話を聞きますよね。
イギリスではそうではありません。
なんせ、ほとんどのイギリス人は日本の大学名など知りません。
イギリスは、様々な人種が活躍するマルチカルチャーな社会です。
そして、企業の人事部と言えど、彼らも人間です。その彼らが、すべての国の機関を把握する事など到底できません。
そんな中で、では人事部はどのように人を判断するのでしょうか?
それは個人の持つ純粋なスキルです。
シンプルです。
この人間は、この会社に必要なスキルを持っているか否か、です。
イギリスでは、そのスキルを証明するための最初の書類選考が、CVによってなされます。
CVについて
もちろん、既によくご存じであると思いますが、日本のあの履歴書を書いて提出しても、イギリスでは誰も受け取ってくれません。
あの日本の履歴書を、例えゼロから翻訳しても、イギリスでは見るなり即、ごみ箱行きでしょう。
彼らには、この履歴書がたとえ英語で翻訳されていても、なんの魅力もないからです。
学校名すら彼らは知りませんので、意味が解りませんよね?
それは、例えば私たちが今、「なんとか王国の、フガフガ大学を出ている」と外国人が日本語で言うのを聞いているのと同じことなのです。
専門的に日本の何かに関わっていない限り、ほとんどのイギリス人は、日本と中国と韓国の区別はついていませんからね!
と言うか、自分たちの国からは遠すぎて、そんな事は彼らにとってはどうでもいいのです。
つまり、イギリスで履歴書に必要とされているものと、日本で履歴書に必要とされているものとは、全く違ってきます。
それは、上記に書いたマルチカルチャーが原因の一つです。 イギリスの企業の人事部の人間が、地球上にあるすべての国の機関を把握する事など到底できませんよね。
私たちが思うよりも世界は案外広いのです。
ん?と言う事は、ちょっと考え方を変えると…?
この事実は、日本の学歴社会で有無を言わさず圧殺されてしまった、しかし自分には能力があると信じている人には、好都合ではないですかね?
スタートラインはどうせ平等ではありませんでしたよね?
平和そうに笑っている学友を眺めて色々苦労しましたよね?
そして、まだ自分を諦めてはいないですよね?
つまり、好都合ですよね? 🙂
CVとは何か?
まずは、基本中の基本、CVとは何か?という話から入りましょう。
CVとは、Curriculum Vitaeの略語です。これはラテン語です。英語では「Course of life」という意味です。
そしてこの「CV」は、イギリス/アイルランド/ニュージーランドにおいて主に使われる、履歴書を指す英単語です。
アメリカやカナダでは、「Resume」という単語が使われます。
オーストラリア、インド、南アフリカでは「CV」という単語と「Resume」という単語がどちらも同じ履歴書という意味で交互に使われています。
まとめるとつまり、
「CV」はブリティッシュイングリッシュ(英国英語)
「Resume」はアメリカンイングリッシュ(米国英語)
ということですね。
CVに書く内容の概要
履歴書において職歴や学歴をリストアップする事はみなさんご存じのことだと思います。
CVにおいては、 更にその職歴や学歴の「内容/経験」をも、アピールポイントとしてリストアップして書き起こして行かなければなりません。
その内容は、それが職歴の一例であれば、例えば、
- どういう目的でそこに入社し、
- そこで何をどう達成し、
- その結果、今自分にはどんな強みがあるのか、
などを、一社ずつまとめて書き起こす必要があります。
けっこう大変そうですよね!
そう、これ作るの大変なんです!
更に、以下の項目も重要です。
- 人事部(読む側)に分かりやすいように書かなければなりません。
- また、これから受けようとしている仕事内容のジョブオファーの文面の「必須項目に沿って」、見合った内容を丁寧に書かなければいけません。
CV作成にかかる時間
私は自分のCVを仕上げるのに、どうやって書くのかを調べたりする時間がだいたい丸3日、そして、実際のCVを書き始めて、それを仕上げるまでに事実2週間をかけました。
合計17日かかった訳です。
イギリス人である私の夫も、だいたいCV作成には毎回1週間くらいかけると言っています。
CV作成にはありったけの時間をかけましょう!
このCV作成には、できるだけ時間をかけるべきです。なぜなら、これはあなたの第一印象なのです。
蒔けば芽吹いて光るかもしれない、可能性の種なのです。
これをできるだけやれないのであれば、その後のコンタクトも何もなく、仕事どころか面接の話も来ません。
適当にやるのであれば、それは時間の無駄なので、むしろやらない方がいいです。
英語力も、過去やってきたすべての努力も、そして今ある結果としての自分を、全部このCVに置いてくるつもりで、書いてください。
ちなみに私のCVは、書類選考に通らなかったことがありません。すべて通過しました。それは、時間をかけたからです。
もし、ここをないがしろにするのであれば、それはすごくもったいないことです。すべての可能性が消えてしまいます。
書く前に、頭に置いておいてほしい。日本人とイギリス人の「働き方」の考え方の違い。
書き始める前に、少し頭に置いておいてほしいことがあります。
イギリス人と日本人の働き方における考え方の違いです。
プライベートを大事にするイギリス人
イギリスは、お国柄、誰でも数か月/もしくは年単位の旅行に行く国です。仕事だけではなく、プライベートの生活も本当に大事にしています。
そして、頻繁に 転職をします。
一つの会社にこだわりません。
それが当たり前なのです。
彼らは、社内で自分をスキルアップさせ、どんどん勤める会社を変えて、給料を上げて行こうとします。
「私だってできるもん!」は恥ではなく強み
その点で、大企業でなくとも、もともと競争心を表に出しても恥ずかしいと思わない人種ですので、社内競争はとても激しいです。
スターバックスの店員の話
一度スターバックスの店員を、コーヒーを待ちながら並んでいる時に観察していた事があります。
その時カウンターには2人の女の子がいました。
その内の一人が明らかに英語の他にポーランド語を話し、ポーランド人が来るとさっと言語を変えます。
その事に腹を立てたもう一人の女の子が、負けん気のぐちゃぐちゃのポーランド語(ポーランド語でも何でもなかったのかもしれません)を、その客に向かって披露します。
「私だって、できるもん!」と言う事ですね。:)
いや、実際は何もできてはいないのですが。
客からしてみれば、そんな競争心は意味がわからないですよね。笑。
そしてこう言う姿勢は、こちらでは評価されます。笑。
度胸がある!と言う事ですね。笑。
だから時々、経験も何もない人が、情熱と自信だけで会社に受かったりするのです。
(いや、でもこれは、考え方によっては、チャンスですよね?)
恥は全て捨てて、「私だってできるもん!」人にならなければいけません。
イギリスでは、「タカも爪を隠していれば能無し」
イギリスでは、「武士は食うために楊枝を剣だと言って高く掲げる」
また、そうやって競争に負けても、彼らはその会社が全てではない事をよく知っているので、他の会社に行けばいいだけだという事もよく解っています。
誇大妄想的に自分に対して最大限の評価をしていきましょう!xD
ポジティブ!
経歴にブランクがあっても平気!
さて、上記でイギリス人が長期間の旅行に行ったりするなど、プライベートをかなり大事にすると述べましたが、つまりそれが意味する所があります。
こちらの企業は、履歴書にブランクがある事を気にしないという事です。
ブランクをどうしても埋めたいのであれば、「自分探しに〇〇に旅行をしていた」もしくは「〇〇を勉強していた」などを書きましょう。
その当時自分がやっていた、今の自分につながるポジティブなものを見つけ出して書き出しましょう。
そしてそのポジティブさが、今から応募する会社の必須スキルに当てはまれば、それはあなたの強みでありすごく良い事です。
忘れないでください。己に不利な情報を「載せない」ことは、決して、嘘をついている事と同義では「ありません」。
真面目すぎる日本人にならない!
時に、日本人はまじめなので、「CVでは絶対に嘘をついてはいけない」と言うと、全部を全部正直に吐露しなければいけないと勘違いし、自分に不利な情報を載せてしまったりします。
とりあえず、それだけは止めましょう。
CVは、牧師への告白状ではないのです。
そして、その履歴書上の暗い告白のブランクを埋めるために、なぜか更に暗く可哀想な苦労話で同情を買おうとする人がいます。
例えば、(これは実際私の過去の同僚がしてしまった話ですが笑)、数年間のブランクを埋めようとして「うつ病で病院に通っていた」と書くかもしれません。
これは、事実であったとしても、避けましょう。
そもそも、こちらの人はブランクを気にしないのですから、意味がありません。
弱みをわざわざさらけ出しているようなものですし、イギリス人は日本人の自虐史観/自己批判を全く理解しません!
「変な人」と思われるだけです。
嘘をつくことは経歴詐称に当たりますので違法ですが、自分の強みをうまくピックアップして載せる事はけして嘘をついている事にはなりません。
これをヨーロッパ圏の人間はかなり心得ています。ここが日本人は正直すぎる、もしくは非常に礼儀正しいと思われるところかもしれませんね。
本当は今回、そもそも「CVの書き方」についての記事を書くつもりだったのですが、前置きがかなり長くなりましたので、CVを書く以前の「心得」として、とりあえず一つにまとめました!
イギリスの生活で、なんかこの人たち考え方が違うなーとか、
イギリス人ってどういう風に考えてるんだろとか思った時の、
感想の一例として楽しんでいただければ幸いです!
皆さんの今日が、素敵な1日になりますように!
良ければ、CVの書き方とやってはいけない6つの項目をどうぞ↓↓↓
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英国古本屋ライター:K・T・エリーズ
略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。