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[解決]イギリスのビザ等の公的書類で、Place of Birth(出生地)に本籍地を書いてしまった!

2020/02/16
 
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 略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。

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「Place of Birth」に何を書く?本籍地?出生地?

日本人には、公的書類に「出生地」を書く習慣がありませんよね。

 一方で、イギリスのビザ申請書類などの公的書類関係には、必ずと言って良いほど「Place of Birth(出生地)」の欄が存在します。

 もしかすると、飛行機の中で渡される入国カードの欄にも、Place of birthの項目があるかもしれませんね。

 さて、どうしましょうか?

 まずは、出生地と本籍地がなんぞやと言うところから始めましょう。

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パスポートの「Place of Birth(出生地)」と「Registered Domicile(本籍地)」

 まずは日本のパスポートと、イギリスのパスポートの違いを見てみましょう。

写真↑、日本のパスポート:「本籍/Registered Domicile」の書かれてある場所(赤枠)
写真 ↑ 、イギリスのパスポート:「Place of Birth」の書かれてある場所(赤枠)

 上2つの写真を見比べると分かるように、イギリスのパスポートと日本のパスポートでは、(SEX/性別)欄の横の場所に書いてある項目が違います。

 日本のパスポートには「本籍/ Registered Domicile」、イギリスのパスポートには「Place of Birth/Lieu de naissance(6)」という表記が、両パスポートのレイアウトの同じ部分(赤枠で囲った部分)に記載されていますね。

  では、 イギリスにおける「Place of Birth(出生地)」は、パスポート上では、日本の「Registered Domicile(本籍地)」に当たる?のでしょうか?

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イギリスの「出生地」は日本の「本籍」に当たる?

 イギリスには、個人の身分関係証明の公的資料として、「出生証明書(Birth Certificate)」制度があります。

 イギリスの出生証明書は、日本の「戸籍謄本」と同じように、「個人の身分事項を証明」するものです。

 ただし、戸籍のような家族単位での身分事項証明ではなく、その個人が出生した証明になります。

 イギリスでは、その個人の「出生」に対して、その場所や、誰の子供であるか、と言った情報が書き込まれるのですね。

 イギリスの「出生地」と日本の「本籍地」は、其々の国の公的身分事項証明書に書かれた場所であるという事に関しては、並列に並べる事ができるでしょう。

 しかし出生地と本籍ではその言葉の意味が違います。

 そこで、誤解が生じるのです。

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そもそも、本籍/Registered Domicileって… …?

 日本人にはなじみ深い「本籍」ですが、このRegistered Domicileという言葉はイギリス人には 全く馴染みがないものです。

 試しにこの英語”Registered Domicile”を、友達でもネイティブの英語の先生でもなんでもいいので言ってみましょう。それ何?と言われると思います。笑。

 なぜなら、現時点で、そもそも戸籍法という行政のシステムがイギリスには存在しないからです。

 存在しない仕組みを、彼らが知っているはずがありませんよね。

 海外担当のビザを扱う弁護士か何かの専門家でないと、この言葉はなかなか出てこないと思います。

戸籍法

 日本人は、1947年から、戸籍法により、個人の身分関係事項の証明を行ってきました。

 その法律に基づき、市町村単位での戸籍簿が作られ、一家族(一夫婦)単位で本籍というものを作成される事になりました。

第二章 戸籍簿
 第六条 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。

 ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。

戸籍法」 e-Gov 電子政府の総合窓口より

 蛇足になりますが、上の戸籍法の引用文にある通り、外国人と結婚をして夫婦になると、その外国人の本籍は日本に存在していません。

 なので、この場合、親の籍を抜けた後は、自分が筆頭者になる本籍を、別個に作成する必要があります。(その話はまた別の記事に書きます。)

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ビザの「Place of Birth(出生地)」に本籍地を書いてしまうと後で起こってくる問題

 さて、ここで私の失敗談を順序を追って載せてみます。イギリスの出生地の欄に本籍地を載せてしまったため苦労した一例です。なんせ、ビザの資料はそれでなくても複雑です。

  • 最初のビザ書類で、「Place of Birth(出生地)」の欄に、パスポートの記載に沿って日本の本籍地を書いた。↓

  • 「 1枚目のビザ:BRP(Biometric Residence Permit)カード」の「Place of Birth(出生地)」欄が「HYOGO」(兵庫県)になった。↓

  • 私の本来の出生地は「大阪」。↓

  • イギリスにて結婚後、親の本籍(兵庫県)から抜けて、名前を夫の姓に変更し、別の住所「愛知県」で戸籍を作り直した。↓

  • 大使館で、新たな日本のパスポートを、新たな戸籍の住所と名前に合わせて更新。↓

  • パスポートの本籍地の表記が「愛知県」に変更される。↓

  • 結果として、今回更新するビザ書類の「Place of Birth(出生地)」欄に、新しい本籍地である「AICHI」(愛知県)を書く事になってしまう。↓

  • これにより、1度目と2度目のビザの提出書類で「出生地」が変更されると言う矛盾が起きます。 

 イギリスのVISA手続きはかなり厳しいと世界的に有名ですよね。

 出生地がビザ申請の一回目と二回目で変更された場合、書類不一致として、ビザプロセスをもう一度やり直さなければならなかったらどうしよう

 高いお金を払って申請するのに、出生地が変わった事により、別人だと思われ、もし書類が通らなければ、話になりません。

 しかも金額が普通の公的書類の比になりません。
 弁護士なしで、自己申請で、アポイントメント代、ホテル代を含め、合計約3000ポンドくらいします。笑。

 基本的に、イギリスにおいて、「Place of Birth(出生地)」は、一個人の生涯を通して同じ場所を指すはずのものです。

 時が経つと生まれた場所も変わる、なんて事は誰にも起こらないはずです。

 イギリス人からしてみれば、「出生地」は文字通り変わるはずがありませんから、出生地に書かれた場所が一回目の申請と二回目の申請時に違えば、書類不備となって最初からやり直さなければならなくなるかもしれません。

 いや、考え方をここで変えて見ましょう。

 では、自分の出生地を確実に証明できる書類があれば、いいのではないでしょうか?

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戸籍謄本にある「出生地」

 実は、戸籍謄本をよく見てみると、身分事項「出生」の欄に「出生地」の記載があります。

 では、その戸籍謄本を持っていけば話が早いじゃないかと思うかもしれません。

 しかし、日本語で書かれた戸籍謄本を持って行っても、イギリスでは誰も公的書類として取り扱ってくれません

 では、これを公的に翻訳してくれるよう大使館に依頼しましょうか。

 もし、出生地を証明するための書類がどうしても欲しければ、それも一つの手かもしれません。

 在英国日本大使館は、戸籍抄/謄本からの抜粋翻訳を、イギリスの出生証明書の発行用に行っています。

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[解決]実際ビザ書類の「Place of Birth」に書いたこと

 最後まで悩みましたが、「Place of Birth(出生地)」欄には、日本の新たな本籍地である「愛知県」を書きました

 最終的な決め手となったのは、gov.ukの公式ホームページの変更が行われた際の届出のページにある「個人情報の変更が行われた場合すみやかに行われるべきBPRの更新」の項目に、Place of Birth(出生地)の記載が見当たらなかったからです。

 下記にスクリーンショットを撮って見ましたので見て見ましょう。

https://www.gov.uk/change-circumstances-visa-brp By www.gov.uk

 上記スクリーンショット、もしくは、その下のURLから飛んでスクリーンショットの同じページを参照して見てください。


BRP記載事項に変更が生じた際に申請が必要な項目は、

  •  「氏名(結婚で変更された場合など)」
  •  「国籍」
  •  「顔の外観」
  •  「生年月日(もし間違いがあった場合など)」
  •  「性別」

です。

 ここに「Place of Birth (出生地)」が含まれていません。

  出生地は変わるはずがないので当たり前だと思ったかもしれません。

 ではここで「生年月日」に注目してみてください。

「もし、間違った場合など(for example if it was wrong)」との注釈がありますよね。

 つまり、ここでもし、「Place of Birth」が最重要事項の一つならば、生年月日と同じように、「もし間違った場合など」という注釈がついて同じようにリストアップされていてもおかしくはないはずですよね。

つまり、Place of Birthは、公的書類においてもそこまで大事ではないと、資料が言っているような気がしたのです。

結果

 何のカバーレターも資料もなしに、「愛知県」とパスポートと同じ本籍地を書いて、そのまま提出しました。

 結果、見事「Place of Birth 欄」に「AICHI」記載のBRPカードを受け取ることができました!

 結論として、少なくとも2019年においては、UKVISA書類における、Place of Birth は、あまり重要な情報ではないという事が言えるかと思います。

 もし、書き間違えてしまって、どうしよう!どの書類を提出すればいいの!と心配されている方々は、ちょっと一息つけたのではないでしょうか :)

万が一のケースのためのミニ知識:「戸籍抄/謄本の翻訳証明の取り方」

 戸籍謄本に書かれている本当の出生地を記載していた場合はそれで問題ないと思いますが、

 しかしもし、なんらかの公的書類のPlace of Birthの欄に本当の出生地を書いた時に、

 彼らは戸籍が何か知らないので、パスポートの同じ位置に書かれてあるものが出生地であると勘違いし、

 パスポートに書かれてある情報と違う!

 という指摘を受ける時があるかもしれません。

 そんな時は、

 日本の戸籍システムはイギリスの出生証明書制度とは違う事を説明し、日本大使館に「出生証明書」(クリックすると、在英国日本大使館のそのページに飛びます)のための戸籍の抜粋翻訳を頼み、それを出生地の裏付け資料として持っていくこともできます。

まとめ

  • 本籍地と出生地は違います。

  • しかし、イギリスのVISAの書類で、Place of Birthに日本の本籍地を書いてしまい、更にその本籍地の住所を1回目と2回目の申請で変更する事になりましたが、大丈夫でした!

  • もし、出生証明書に代わるものとして、ご自身の戸籍の英訳が欲しい方は、在英国日本大使館の「出生証明書」で申請できます!(クリックすると、在英国日本大使館のそのページに飛びます)

 自分で書いていてもややこしい話になりましたが、最後までお読みくださりありがとうございました!

 私の失敗談が皆さんの解決法に役立ちますように!

             

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英国古本屋ライター:K・T・エリーズ

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