[現役翻訳家と]英語で英語を読む
略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。
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英語で英語を読む心構え
はじめまして。
己が己を信じないなら、誰が己を信じるのか。「英国古本屋」のライター、K・T・エリーズです。
これを読んでいるあなた、
もしかして、あなたはきっと社会人で、時間がなく、長文を読むなんて、とても難しくて不可能な事だと思っていませんか?
なんらかのテストに向けて、英語の表現力/読解力を伸ばしたいが、到底時間がない。ましてや、そんな中で、英語で書かれた長文を読むなんて、難しいし、相当の根性がないと無理だと。
もしそう思っているとすれば、それは間違いです。
文法と表現
英語で書かれた表現を難しいと思うのは、日本語で書かれた文法から英語を理解しようとするから、難しいのです。
実際に、英国で暮らす子供は、学校で文法を習う前から、aとtheを使いこなし始めますよね?
そして、世界では、ネイティブよりも、英語を第二言語として話す人の方が文法の知識が圧倒的に多い事は、誰もが知るところです。
それほど、皆さん一生懸命、文法の理解を通して英語の勉強を始めます。そして英語の「表現」も、文法を通して理解できるようになると勘違いしているのです。
事実、ほとんどのネイティブスピーカーは自らが流ちょうに話す言語の文法を説明できません。
いや、私は文法がどうでもいいと言っている訳ではありません。
実際に、私には知らない文法はないというほど、文法をやりこみました。
文法ができなければ、翻訳家にはなれません。例えスラングの言い回しであっても、そこで文法力は絶対に必要になってきます。
しかし、言えば文法は、同時に、それ以上の理解を与えてはくれません。文法は、いわば骨格にすぎないという事を言いたいのです。
もしあなたが、その骨格に肉付けされた「表現」の域の理解を獲得したいと思えば、文法+物事の理解力が要ります。共感力と言っても良いかもしれません。
英語で物事の理解力を高める
例えば、典型的な日本の文学表現で、
「少年の心には、雨が降っていた。」
という心情描写があったとします。
そこで、この日本語の文章を、砂漠が多く雨を必要としている国の翻訳者が訳したとしましょう。
するとその翻訳者にとっては、雨はものすごく必要不可欠なものなので、「この少年は、雨という貴重なものが心の中にあふれているような、すごく満たされている状態にある」と理解される事になるかもしれません。
もしくは、ものすごく固い頭の人がこれを読んで、「心なんて形のないものの中に、雨がどうやって物理的に降るんだ」と思ってしまうかもしれません。
どちらの場合も、この日本語の表現が言わんとしている、少年が悲しんでいるという事実に気付く事が出来ませんね。
そしてその文章を、それぞれ「文字通り理解したまま」翻訳してしまいます。これが誤訳の起こるプロセスです。
つまりどの言語かは問題ではなく、全ての物事をその国の文化背景を含めて、深く理解しようとする心が必要です。そして無論、継続力も必要です。
継続力は命であると言っても過言ではありません。
その中で、英語で長文を読み進めていく事は、文法力を上げるためにも、表現の理解力を上げていくためにも、とても効果的なやり方です。
子供になる
また、子供はどこの国でも、言葉を学ぶのに、面白い本から語彙や表現力を伸ばしていきます。そして子供はどこの国でも、言葉を学ぶ事にかけてははるかに有利で、吸収が速いと言われます。
そしてその逆もしかり、声高に叫ばれているかもしれませんね。
「18歳を過ぎてからの言語習得は不可能である」と。
いや、だからなぜ、誰も子供の真似をしようとしないで、ただ不可能だと言うのでしょうか?
言語習得において、子供という名の天才になりたければ、その天才がしている事を、1から100まで真似る事から始めなければなりません。
私が英語の勉強を本格的に始めたのは、28歳の時からです。しかし今では、イギリスで住み、イギリスの企業で仕事をしています。
不可能を可能に
天才の真似から始めようともせず、不可能だと言うのは、ただの怠惰でしかありません。
何かにつけ不可能だと言う人間は、その人が過去できなかった事を、あなたにも「できない」と押し付けているだけに過ぎません。
その人は、あなたにできてもらっては困るのです。自分にできなかったことをやり遂げてもらっては、自分の立ち位置が危うくなります。だから、できてほしくなくて、あなたができるようになる前に、そんなことは不可能だと笑うのです。
そんな意地悪で怠惰な人はもう放っておきましょう。
あなたは これから、自由に、自分の成したかった事を成し遂げるのです。
己が己を信じないなら、誰が己を信じるのか。 「英国古本屋」のライター、K・T・エリーズでした。
「質問がありましたらいつでも、「お問い合わせ」よりお送りください。
「英国古本屋」ライター、K・T・エリーズ
略歴:渡英後すぐ、イギリスの某大手IT企業に就職。IT/マーケティング資料/サポート記事の翻訳や校正を現役で担当中。ローカライズ歴5年目。プライベートでは、現地で結婚。夫婦の共通言語は英語。